太陽光発電の導入を検討している自作erの話 Vol.04 シミュレーションをしてみよう編

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今日はコスパの話

初期投資が自作PCと比べて10倍ぐらいになる太陽光発電だからいったいいくら設置と維持に必要で、発電量はどの程度でいくら節約できていくらで売れるかがスペック厨とはいえ重要になる

 

初期投資は見積もりをしてもらわないと製品、設置用部材、人件費とマスクデータ多すぎで試算がし辛い

清掃や消耗品であるパワコンの交換でこれも調べにくい

 

発電量については計算式もあるしある程度は自力で計算ができるので今日はこの部分の話

 

 

一番簡単な式

太陽光発電システムの年間予想発電量(kWh/年)は、次の式で概算できます。


H=設置面の1日当りの年平均日射量(kWh/㎡/日)


K=損失係数・・・約73%(モジュールの種類、受光面の汚れ等で差があります。)
・年平均セルの温度上昇による損失・・・・約15%
・パワーコンディショナーによる損失・・・約 8%
・配線、受光面の汚れ等の損失・・・・・・約 7%


P=システム容量(kW)


365=年間の日数


1=標準状態における日射強度(kW/㎡)
注意:実際の日射量は、平均値とは異なることがあり、設置環境(影などの影響)や設置する機器の違いにより損失係数が異なることがあります。


年間予想発電量(kWh/年)=H × K × P × 365 ÷1
(出典:NEDO技術開発機構 太陽光発電導入ガイドブックより)*1

孫引きだけどこんな感じ*2

 

H

日照量はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)で公開されている日射量データベースを使って求める

値を使用するMONSOLA-20は過去9年間の年間日照量の平均値を1kmメッシュごとに算出してくれているのでかなり精度が高いシミュレーションが可能になる

 

K

損失係数は受けた光を変換どの程度変換できるかという値なんだけどNEDOの標準の値0.73(73%)結構厳し目に見込んまれている

何年前のデータなのか不明だがセルの温度上昇での性能低下やパワコンの変換効率はこの値より上がっている

ソーラークリニックって発電シミュレーションを提供しているサイトでは2013年から0.8(80%)をデフォルト値に使ってたりする

 

P

パネル容量はそのままの意味

しかし、業者によって取扱いメーカーが違ったりで同じ設置面積でも振れ幅が出る

 

365

年間の稼働日数

トラブルとかで動かない日もあるだろうけど誤差程度で済むと予想

 

1

標準状態における日射強度

障害物の影響で日が陰るのが早いとかそういう状態の補正

なんだが、それは使わない値

急に除算が出てきても引っかかるので俺は0.xを乗算して値を出してる

 

 

計算する

 3.97 * 0.73 * 1 * 365 * 1 = 1,057.8 kWh

岡山県南部を基準とすると1kwのシステムを設置すると1年間で得られる電気がこれでわかった

 

 

計算から推定できること

自分の家に必要な太陽光パネルの容量

f:id:NEXTAltair:20220108201741p:plain

METPV-20で冬至付近の日射量を見てもらうと発電できる時間が7~8時間ということが分かる。365日全部見るの*3もしんどいんで太陽光発電の稼働時間は年平均で8時間程度と見込む

この8時間分の消費をまかなえるだけのパネルが最低限必要

 

同日の電気消費量を見てみよう

f:id:NEXTAltair:20220108202536p:plain

Vol.01にも言ったとおりマイニングが常時稼働というのも有り常に結構な電気を食っている

午前8時~午後5時の消費量は12.6kWh

かなり多い*4

 

 12.6 * 365 = 4,599kWh

 4,599 / 1,057.8 = 4.3kw

 

太陽光発電稼働中の電力消費を賄うには最低限で4.3kw以上のシステムが必要というのがわかった

とはいえ理想的な値で算出されているので容量はもっとほしい

 

電気料金の目安は27円/kWh*5*6なので全部を太陽光発電でまかなえる場合

年間で124,173円の節約が可能

 

 4,599 * 27 = 124,173

 

太陽光システムを回収する目安はパワコンの寿命や固定買取制度の期間によって約10年でシミュレーションされる

10年間で節約できる電気代は1,241,730円

 

 124,173 * 10 = 1.241,730

 

この金額より高いか安いかが損益分岐点の目安になる

太陽光発電の値段を算出する場合kw/円をよく使うのでシステム容量で割る

 

 1,241,730 / 4.3 = 288,770円

 

20万/kwを切れるかどうかが割高割安水準という事を考えると、理想的な発電量と自家消費で運用できるなら相当お得と言える

経産省が出している資料によると住宅用10kw以下のkw単価は28万*7とされてるので納得感はある*8でも高いんで俺ならこのkw単価提示されても断るわ

しかし、うちみたいなマイニング&引きこもりみたいに昼に消費電力のピークを叩き出す様な家庭は一般的じゃないんでそのへんが普及率を挙げられない原因の1つだと思われる

 

 

一般家庭を想定した計算

普通太陽光発電が稼働している午前8時~午後5時なんて誰も家に居ねえよというようなところのほうが多い

こんなブログに流れ着く人間なんだから自宅サーバーやマイニングリグがフル稼働しているお宅も結構あるとは思うがそれは考えない

省エネルギーセンターの調査によれば、一世帯あたりの年間待機時消費電力は285kWh/年と推計されており、1世帯あたりの年間電力消費 4,734kWh/年 のうち、約6.0%を占めるほどの電力が、待機電力として消費されている。

待機電力の節電方法と実例の紹介 | 家電の消費電力一覧・待機電力の削減による電気料金の計算

孫引きだから元のデータにあたってみたらこれが2008のデータでちょっと古い


今回推計された一世帯あたりの待機時消費電力量228kWh/年は、平成20年度調査の待機時消費電力量285kWh/年に比べ、57kWh/年減少した。*9

最新かどうかは知らないが2012のデータがすぐ見つかったんでこれを使おう

この待機電力が全て昼間に消費されると想定しても6,156円程度の電気代にしかならない

待機電力ではなく常時電力を消費する冷蔵庫の存在があるがあれも年間の消費電力が7,000円*10ほどで昼間はその1/3程度だが、計算めんどうなので冷蔵庫の消費電力は全部昼間に使うことにする

 

14,776 / 27 = 547.25kWh

547.25 / 1075.8 = 0.5kw

 

大型のパネルなら1枚で済む程度の電力しか消費しない

DIYでやれ、前に記事にしたコンセント経由で電気流せるインバーターもあるから

なのでたっぷり設置して費用の回収はFIT頼みになる

開始当初はすごかったが今は下がって2022年は17円で10年間

先程計算したうちの昼間を支えられる4.3kwのシステムを設置したとしよう

発電量は変わらないが家で使い切れない4,001kWhをFITで売電を10年間した場合回収できそうなkw単価を求める

 

4.3 * 1057.8 = 4,548.54kWh

4,548.54 - 547.25 = 4,001.29kWh

4,001.29 * 17 = 68,021.93円

68,021.93 * 10 = 680,219.3円

680,219.3 / 4.3 = 158,190.53円

 

kw単価が15.8万円と安くないと10年で回収は無理

 

 

精度を上げる

式の項目の繰り返しになるが、このまま使うと精度の低い部分がある

設置の方位と角度*11、パネルの温度特性、パワコンの変換効率あたりは設計がないとわからない

後回しにする

 

標準状態における日射強度については精度の高い値は出せる

サン・サーベイヤー・ライト

サン・サーベイヤー・ライト

  • Adam Ratana
  • 写真/ビデオ
  • 無料

apps.apple.com

指定した場所と日時の太陽の位置が分かるという便利なアプリ

ARやGoogleストリートビューに太陽の軌道を重ねて表示させられる

設置場所からみて何が影になってどのていど日射量を得られないのかわかる

1時間ごとの日射量はMETPV-20でCSVを取得できる

 

方位角 傾斜角 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
0 10 12 20 2012 23 54 103 209 185 140 196 163 95 16

真南で10°設置の場合の冬至付近の日射量を抽出した

これにサンサーベイヤーで得た直射日光の当たらない時間帯を0と計算する

 

全体が1,184で朝の時間帯は10時ぐらいまで直射日光が当たらないとする

その場合の日当たりは1,107で93%となる

日照強度の係数として「* 0.93 」すると設置場所の実情にあった値になる

 

 

おわり

引きこもりでもテレワークでも鉱夫でもいいが昼間電気をいっぱい使うやつは設置したほうがいいぞ

逆に昼間誰も居ない家は設置するな何の得もない

エコのためなら損しても蓄電池を導入するんだ

*1:https://www.maff.go.jp/j/biomass/b_21hosei/pdf/taiyo_panf2.pdf

*2:太陽光発電導入ガイドブックはpdfで公開されてなさそう

*3:データを取り込むのも

*4:細かい消費量が見られない人は12月の電気消費量を4で割るぐらいで、時間と同じく3で割ってもいいけど普通のご家庭は昼間にこんな電気食わない

*5:https://www.eftc.or.jp/qa/qa_pdf.pdf

*6:燃料調整、再エネ賦課金、消費税込みなのかは不明。 楽天でんきの場合諸々込だと28円/kWhぐらいになる

*7:ソースは忘れたがこれはアンケート調査の結果なので額を持ってる可能性は否めない

*8:https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/073_01_00.pdf

*9:https://pps-oita.jp/wp/wp-content/uploads/2021/08/taikiji_2012.pdf

*10:【最新版】冷蔵庫の消費電力を比較!買い替えの節電効果も紹介 | 電力・ガス比較サイト エネチェンジ

*11:本州の場合真南30°が最高とされている